帰国してからだいぶたった気がするけれど、実は家の中がまだちゃんとしていない。
といっても、家を整えるのは終わりのない作業なのだけど、「とりあえず必要だから・・」って揃えたもの中には、あんまり好きになれないものも混じってしまう。
「あれもこれも必要だ〜。」「なにから手をつけていいのか」と頭がいっぱいになってしまうので、
津田晴美さんの「ひとり暮らしのころは」を読み返してみた。
この本に出会ったときは、まさに私もひとり暮らし、しかも、言葉の通じない異国で。
家具も道具もお金も、ない。だけど、せめて家の中では、快適に過ごしたいというジレンマ。
そして、将来に夢も希望もあるはずなのに、気ばかりあせって周りにおいてかれそうで、不安な気持ちが正直につづられている。
「・・な〜んだ、みんな若い頃って一緒なんだ」と思って共感したけれど、それを乗り越えていくための、すぐにでも真似できそうな小さな知恵が、この本にはあふれいてる。
シンクでマルセイユ石鹸を泡立てて、お気に入りのカシミヤを洗ったら、ふっくら感がよみがえったとか、髪も石鹸であらってリンゴ酢でリンスするのが一番とか、今はやりのナチュラル志向のはしりのようなお話は、洗濯機さえ持っていなかった、心地よい暮らしの右も左もわからなかった私にとって、ずいぶん励みになった。
「そっか、必要なものはたくさんはなくって、工夫と想像力と少しのお気に入りなのか」って。
この本でいちばん印象に残っているのは、仕事で波にのってきた頃の著者が、尊敬する年配の女性に「アイロンがけの必要ない便利な化繊のシーツ」をすすめたら、その女性から、「アイロンがけできなくたって、木綿のシーツの方がずっと気持ちがいいわ」と言われ、恥じ入るというエピソード。
・・ほんと、身にしみる。
今は、仕事を休んでいて余裕があるけど、忙しいときは余裕がなくなって、
なにが気持ちいいかとか感じたり、心地よさを作り上げながら暮らすための感性が磨耗して、ただ疲れ、家にまつわるすべてがムダなタスクに思えるという悪循環に陥ってしまうのだ。
時間がなくても、心の余裕を持つことが大事だね。